Let's go together!①


もう自分の限界を超えている。一体どれだけ走り続けているのだろう。
走り続けて、走り続けて…気が付けば自分の足は、あの草原へと向かっていた…。
どこまでも続く草の海……。
もう一度…もう一度だけでも、あの草原を……。
ついに足が動かなくなる。視界がぐらりと揺れて暗くなる。倒れる体。
夜風がさあっと吹き、微かに香る草の匂い。
もう一度…もう一度――――。



「気が付いた?」
「………」
「あなた、草原の入り口に倒れてたのよ。どこから来たの?見たところ、旅人のようだけど…」
「ああ…そうでしたか…。」
「私はリン。あなたは?」
「私は…ミンテアフルです。ミンと呼んでください。」
「ミンテアフル?…不思議な響き。でも悪くないと思う。ミントと呼べばいいのね」
「ミン、です。ミントってなんですかハーブじゃないですか」
「あら?ミンね。ごめんなさい。それで…サカ草原には何をしに?よかったら話を…」
「……声が…しますね。あなたの仲間ですか?」
「……違うわ。ベルンの山賊どもだわ!ここに隠れてて!私一人で追い払ってくるわ!」
「一人で?部族の仲間はどこに…」
「…今は…私一人なの」
「…私も一緒に行きます」
「え?ミント…戦えるの?」
「ミンです。戦えませんが、私は優秀な軍師見習いですので、最も効率的な戦い方をお教えすることができます」
「そう…軍師の見習いなのね。わかったわ、行きましょう!」


*****


外に出ると、どこまでも広がる草原がそこにはあった。
懐かしい、澄んだ空気。
「………行きます」
「ええ…まずはアイツからね。」
「反撃狙いで行く。森に隠れながら進んでください」
「……よしっ!」


華麗に敵を倒すリン。その剣技には、人を魅了するものがあった。
すぐに、山賊のボスが待つゲルにたどり着く。
「なんだぁお前たち?このバッタ様をなめるなよ!」
「「バッタ!!?」」
「…くっ!」
思わぬ動揺を受け、攻撃をかわしきれなかったリン。
「リンさん!傷薬を!」
「次の一撃で…決めるわ!」
「リンさん!!」
「たあっ!!!」


*****


「ふうっ、危なかったわね。心配かけてごめん」
「どうして私の指示を無視したんですか?必殺を決めていなかったら死ぬところだったんですよ!」
「(必殺??)ごめん。でも、あれくらいで怖気づいてちゃだめだって思っちゃったの」
「………」
「もっと強くならなくちゃ…誰にも負けないくらい…」
「………リンさん、…部族の仲間はどこですか?どうして一人で?」
「…ロルカ族は、本当はもうないの。半年前、山賊に襲われてバラバラになって…父も母も死んでしまった。私は族長の娘だったけど…こんな子供に誰もついてこなかった…」
「………」
「えへへ、ごめん。もう泣かないって決めたのに… …」
「辛い思いをしたんですね。ずっと一人で…」
「… … …ミント…ありがとう、落ち着いた。もう大丈夫…」
「…ミンです(小声)」


*****


「おはようミント!」
「うっ………うん……そうです…ちゃんとゴミの分別を…」
「やーね、ねぼけてるの?」
「……リンさん…おはようございます。あとミンです」
「あ、あのね。…突然だけど…」
「わかってます。二泊三日の料金でしょう?ちゃんとお支払いしますって。実は食料や水は持ってなくとも、所持金だけはしっかり持って逃げてきたんですよ」
「ううん、そんなんじゃないの。お金なんていいのよ」
「リンさんってどうやって生計たててるんですか?」
「うーん、父さんが残してくれたお金もあるし、ちょっと歩けば川も木の実もあるし、狩りもできるし。生活には困らない……逃げてきた!!?
「ツッコミ遅くないですか??」
「どういうこと?誰かに追われてるの?どうして?」
「大したことじゃないんです。それより、リンさんの話を先にお願いします」
「で、でも…後で話してくれる?」
「うん(適当)」
「あのね…私、もっと強くなって、父さんたちの仇を討ちたいの。だからね…私と一緒に修行しない?」
「修行?旅に出るんですか?」
「うん。ここにいたって強くなれないし…」
「なるほど…そうですか」
「あれ?ミントって結局どうしてサカに来たの?」
「え?あーそれは…私は…えーっと、一人前の軍師になるために旅をしているんですよ」
「一人前になるための旅…」
「確かに、リンさんと一緒なら心強いですね…」
「でしょ!それじゃあ…」
「…わかりました。一緒に行きましょう」
「ありがとう!!すごくうれしい!お互い、一人前になるために、がんばろう!ね?」
「…はい。よろしくお願いします」


*****


こうして二人の旅は始まった…。


「まあ、私は既に一人前と言っていいくらいの腕前を持っているんですけどね」
「思ったんだけど、一人前の基準って何なのかしら?自分でそう思えたならそれで一人前なのかな…だとしたらミントはきっと本当に既に一人前なのね」
「私が一人前のハードル低くしてるみたいな言い方やめてください。あとミンです」
「あ!忘れてた。逃げてきたってどういうこと?」
「え?あーうん…いや本当に大したことじゃないんです。まさか私がサカに逃げたとは思わないでしょうし。おっ街がみえてきたぞー(棒)」
「もー!!」


Let's go together!① おわり。


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